説明及び謝罪要求書


財団法人栗東市文化体育振興事業団と我々NUMBERING MACHINEとの共催で、2004年10月8日〜10日に栗東芸術文化会館さきらのシンボル広場で本番を行う筈であった公演「026―METAL」は、一部近隣住民からの音量に関する苦情に端を発し、栗東芸術文化会館さきらの一方的且つ話し合いを装いつつ、その裏では対外的に中止発表を同時進行で行い、加えて近隣住民以外へは中止理由を偽って発表するという暴挙により、10月8日は殆どの観客が来場しない中でのリハーサルという名目の無料公開、10月9日は中止に追い込まれました。我々は以下の項目に関し、説明及び謝罪を求めます。

1、双方による協議の最中であり、結論が出ていないのにも関わらず、裏では同時進行で、電話、メール、HPでの告知、看板の設置など、あらゆる方法で騙し討ち的に対外的に中止発表を行ったのは何故か。

2、契約書の第3条には、「この契約の履行が天災その他の避けがたい事由により不可能となったときは、甲・乙協議のうえ、契約を解除・変更することが出来る。」(甲は、財団法人 栗東市文化体育振興事業団 理事長 中野友秋、乙は、丹野賢一/NUMBERING MACHINE 代表 丹野賢一)とあるが、1のような一方的なやり方は協議を全く無意味なものとする行為であり、契約にも違反するのではないか。

3、中止の理由を近隣マンション住民には「音量」とし、それ以外の観客には「台風」の為と偽ったのは何故か。観客を騙し冒涜する行為ではないか。

4、10月8日・9日を中止とするというさきら側の決定を我々は全く了解していないにも関わらず、マンションの管理組合にはそれが我々の希望かのように偽って伝えていたのは何故か。

5、10月9日に、近隣住民との間の理解を深める為に、我々のスタッフが自ら近隣住民のお宅に事情説明、挨拶に伺いたいと申し出た事に対して、さきら側は「それはしなくていい」と返答したのは如何なる理由からか。

6、また、我々のスタッフによる説明を必要無しと判断する以上は、さきら側が我々に代わって近隣住民に対し何らかの説明をしたのだと思われるが、その際に近隣住民に対してどのような説明とアプローチが成されたのか。その内容は具体的にはどのようなものであったのか。

7、我々が栗東市に入る以前から、使用する音量に関しては、さきら側の担当プロデューサーの山本達也氏には説明し同氏は了解をしていた。また、同氏は事前の新聞社などの取材の際には、「今回の企画は挑戦であり、苦情が来る事は寧ろ歓迎な位である。」と豪語していた。とすればある程度の音量が出る事も、苦情の想定もさきら側は出来ていた筈である。にも関わらず、一方的に中止を強行したのは何故か。

8、一部近隣住民から音量に対する苦情があったのは事実ではあるが、一方で公演の実施を楽しみにされていた観客は近隣住民及び他都府県に渡り、数多く存在した。この方々に対して、一方的な中止発表をする事はどう捉えているのか。

9、10月7日深夜に初めて提示された、さきらの事務長・谷口誠一氏及び担当プロデューサーの山本達也氏からの10月8日・9日の公演は中止し、10月10日のみの公演とするというさきら側の提案(事実上は強制)は、さきら内部でどのような話し合いの末、誰の決定で行われたのか。

10、10月10日になると、さきらのHPにはそれまでは掲載されていた10月8日・9日の公演は中止という文言が突然削除されていたが、これは事実を隠蔽しようとする行為であり、観客への説明責任、対処をもなおざりにする事ではないのか。

11、10月9日の話し合いの中、我々の「今日の公演を観に来ようとされている観客の方々に対し、どう考えているのか」との問いに、理事長の中野友秋氏は「そんなもの帰しゃいいんですよ。イベントの中止なんて珍しい事じゃないんだから。」と発言したが、これはアートの観客の事を全く鑑みない、且つ冒涜する発言ではないか。このような発言を行う人物は、アート、表現に関わる劇場の責任者である資格が無いのではないか。

12、10月9日の強行中止により、来場はされたが公演を御覧頂けなくなった観客の方々に対し、我々が事情説明の文書を配ろうとした際、副館長の仙石龍岳氏はその文章を検閲し、挙げ句には「そんなものを配ったら明日の本番も中止せざるを得なくなってしまうぞ。」と脅迫してきたが、これは表現の自由にも抵触しないか。また、このような権力を用い表現を封殺する言動を取る人物は、アート、表現に関わる劇場を管理する資格など無いのではないか。

13、これ以外にも我々と約束していた機材の量を平気で反古にしたり、近隣住民からの苦情に対し真摯な対応をせず、苦情対応に対する苦情を更に呼び起こすような、関係者に対する誠意や真剣さが全く無い対応をさきらが繰り返している体質を自らはどう考えているのか。

14、今回の企画は、さきら側が募集した公募スタッフも作品創作に深く関係している。その自らが募集した人達に対し、強行中止に関して何ら説明も謝罪もないのは何故か。

非公式ながら、プロデューサーの山本達也氏からは、いずれさきらからも某かの発表をすると聞いていましたが、公演終了から4ヶ月近く経過した今も全くその気配は見られません。よって公開質問状を送付し、回答と謝罪を求めます。

2005年2月4日
丹野賢一/NUMBERING MACHINE、さきら公募スタッフ
代表 丹野賢一
石川雷太、スカンク(岩田直樹)、羊屋白玉、藤井菜津子、藤原理恵子、松本じろ、松本美波、村瀬満佐夫、村山淳、本原章一


この文書は、2005年2月4日、栗東芸術文化会館さきらの理事長 中野友秋氏、館長 森谷尅久氏、副館長 仙石龍岳氏、事務長 谷口誠一氏、係長 吉川素子氏、プロデューサー 山本達也氏の6名に宛て内容証明郵便にて送付したものです。