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DANCE SCENE IN JAPAN 大阪ダンスシーン
建築空間とダンス

季刊「DANCEART」(ダンスカフェ)No.20(2001年3月10日発行)
竹田真理

DANCEART PHOTO  淡路島の北部、関西国際空港のための土砂を採取した広大な跡地が、建築家安藤忠雄の手でリゾート施設を含む一大空間に再生された。ここで開催された’環境創造イベント’に他ジャンルのアーティストとともに5組のダンサーが参加した。打ち放しのコンクリートがゆるやかな局面を展開し、広場や回廊を迷路状に構成する屋外空間である。この特異な場所ならではのパフォーマンスをみせた2組を報告しよう。クルスタシアの浜谷由美子と椙本雅子は、この場を温泉保養地と見立てたか、白いバス・ガウン姿で出没、昭和のポップスから無意味に元気な曲を選んでは、観光客を巻き込んでのアナーキーな展開。旺盛なサービス精神と見せかけて、見る者を突き放す覚めた視線がある。空間の特性を味方につけたのは丹野賢一。初日、白い月が煌々と輝流12月の凍れる夜、水の張った池に背中から倒れ込むという無謀をやってのけ、翌日、コンクリートの壁に身体を打ちつけるハードな行為に打って出る。淡いグレーのコンクリートに丹野のピンクのコートが映え、映画にしたらさぞやの思わぬ視覚効果。最後は観客を振りきって壮大な迷路の中へ立ち消えた。このところ既存のホールでの公演が続いた丹野だが、やはり彼には劇場以外の場所が似合う。妥協のないダイ・ハードな本領を追及してほしい。

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丹野賢一/NUMBERING MACHINE:mail@numberingmachine.com
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